「一億総下流社会」と「一億総長寿社会」は、同時に来る可能性がある



古代中国の書物である「淮南子」(えなんじ)に書かれた、「人間万事塞翁が馬」(じんかんばんじさいおうがうま)という、有名な話があります。

簡単に話のあらすじを紹介すると、中国の北方の塞の近くに、占いが好きなおじいさんが住んでいたそうです。

ある日おじいさんが飼っていた馬が逃げ出したので、近所の人が励ましにいくと、「これが幸福を招くかもしれないよ」と言って、まったく落ち込んでおりませんでした。

するとおじいさんの予想した通り、数ヵ月後に逃げ出した馬が、駿馬(足の速い優れた馬)を連れて、おじいさんの家に戻ってきたのです。

これは良かったと、近所の人がお祝いにいくと、「これが不幸を招くかもしれないよ」と言って、まったく喜んでおりませんでした。

するとおじいさんの予想した通り、おじいさんの息子がその馬に乗って遊んでいた時に落馬し、骨折してしまったのです。

これは気の毒だと思い、近所の人が励ましにいくと、「これが幸福を招くかもしれないよ」と言って、まったく落ち込んでおりませんでした。

するとおじいさんの予想した通り、隣の国と戦争が始まり、多くの若者が命を落としましたが、おじいさんの息子はケガのため、兵役を免れたので、命を落とさずに済んだのです。

これが「人間万事塞翁が馬」のあらすじであり、この話のように幸福だと思っていた事が、不幸を招く場合があり、また逆に不幸だと思っていた事が、幸福を招く場合があるのです。

つまり最終的に何が幸福になり、何か不幸になるかは、予想が難しいので、安易に喜んだり、悲しんだりしてはいけないという事を、この話は教えているのです。

最近朝日新聞デジタルのある記事を読んでいたら、この「人間万事塞翁が馬」という話を思い出しました。

それはカロリー制限、やっぱり長寿に効果 論争に終止符かという記事であり、その内容は次のようになっております。

『カロリー制限はやはり長寿に効果がある、とする研究結果を米国の二つの研究チームがまとめ、17日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。

両チームは1980年代後半からアカゲザルで実験を続け、効果をめぐって相反する結果を発表。両チームが共同で実験データを再解析し、「効果あり」で結論が一致したという。二つの研究チームは米国のウィスコンシン大学と国立加齢研究所。

いずれも、好きなだけ食べさせる集団と、それよりも摂取カロリー量を3割減らした集団で生存年数などを比較する実験をしているが、大学は2009年と14年に「効果あり」、研究所は12年に「効果はなかった」と発表していた。

今回、両チームで15年7月までの互いの実験を比べると、カロリー制限を始めた年齢が大学は大人の7~15歳なのに対し、研究所は1~23歳と幅広かった。

このため、研究所のデータについて、実験開始時の年齢を若年(1~14歳)と中高年(16~23歳)に分けて改めて解析すると、若年でカロリー制限を始めた場合は寿命が延びる効果はみられなかったが、中高年で始めた場合は効果がみられ、特にオスは平均寿命の推計が全体よりも9歳ほど長い約35歳だったという。

また、両チームの解剖データを調べたところ、開始年齢や性別にかかわらず、カロリー制限をしたグループのほうが、がんの発生率が15~20%ほど低かった。糖尿病や脳卒中など加齢に伴う病気も、より遅く発症していた。

東京都健康長寿医療センター研究所の石神昭人研究部長(老化制御)は「論争に一つの終止符が打たれた。約30年に及ぶカロリー制限の研究データは、人間にも置き換えることができそうだ」と話す』

以上のようになりますが、カロリー制限による長寿効果は、「人間にも置き換えることができそうだ」という点が、とても興味深いと思いました。

そうなると美味しいものを好きなだけ食べているお金持ちより、粗食をしている貧乏人の方が、健康的に長生きできるという話になります。

もちろんこの実験では、摂取カロリー量を3割減らしただけなので、極端な粗食は健康に良くないと思うのです。

最近は「一億総下流」や「下流老人」などといった、暗い言葉をよく見かけ、日本の先行きに不安を感じます。

ただ収入が低くなり、食費を削らざるを得ない状況が、生活習慣病の発症を予防し、健康的な長寿を招くとしたら、「人間万事塞翁が馬」ではないでしょうか?
関連記事

  1. 2017/02/01(水) 20:15:40|
  2. 健康・ダイエット